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サシバの渡り

10月に見られる渡り鳥の代表格といえば、サシバです。
朝早くに九州の南端を飛び立ったサシバは、その多くが夕方ごろに宮古諸島に飛来して休息をとりますが、八重山諸島にも一部が飛来し、西表島では仲間川の上流部でねぐらをとります。
西表島にサシバが渡ってくるのは、だいたい二十四節気の寒露(10月8日ころ)の一週間後くらいです。
この時期には毎年、環境省西表自然保護官事務所ではサシバの森の観察会を開催しており、たいていサシバを観察できるのですが、今年は少し時期が早すぎたせいか、残念ながら1羽も見ることができませんでした。
センターに今年最初のサシバの渡り情報が入ったのは、10月11日のこと。
仲間川上空を30羽ほどが通過したという情報でした。
いよいよサシバが来たかと、毎日のように大富休憩所へ通ってみましたが、雨の日が続き、また、なかなか北風が吹かず、サシバの群れを確認することができませんでした。
そして、私がようやくサシバの群れを観察できたのは10月17日の夕方6時前でした。休憩所から仲間川の上流に見える山の稜線上に、米粒よりも小さな黒い点々のサシバが見えました。

薄曇りの日で、双眼鏡を使ってようやく見えるという程度でしたが、150羽ほどが鷹柱を作っている様子には、いよいよこれから来るぞ、というわくわくした気持ちにさせられました。
例年なら、サシバたちが休憩所の近くまで飛んできてマングローブ林に入る様子を観察することができるのですが、今年はなかなか近くまでは来てくれず、遠くに目を凝らしていると、急に上空に2羽のサシバが現れ、ようやく撮れたのが下の写真です。

やっぱり近くで見るとかっこいいタカですね。
夕方のサシバ観察だけでは物足りず、サシバが飛来した翌朝南の空に飛び立つ姿を観察したいと思い、10月19日には早起きをして見に行きました。6時半に休憩所へ到着した時にはすでに上空でサシバが飛んでいました。

サシバ_3.jpg
休憩所の真上を通る群れもいて、近くで観察できたことに大興奮!ただ、驚いたことに朝のサシバは夕方に見るサシバとは飛び方が違うのです。夕方は鷹柱を作り、しばらく空を旋回する様子が観察できるのですが、朝のサシバは南を目指してす~っと飛んでいくので、あっという間に姿が見えなくなってしまいました。
彼らが次に目指すのは台湾。一刻も早く暖かい南の国へ辿り着くために、西表でゆっくりしている暇はないのでしょう。午前7時過ぎ、雲の間からようやく顔を出した太陽を見ながら、サシバたちの旅路に思いを馳せてみました。
西表島での渡りのピークは過ぎてしまいましたが、わずかながらここで越冬するサシバもいます。冬の間、どのようにサシバが過ごしているのか、まだまだサシバ観察の楽しみは尽きません。
(山城)

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