イリオモテヤマネコは西表島の全域に生息していますが、主な生息地は山麓から海岸にかけての低地部分です。
島の低地部分にはシイ・カシ林のほか、サガリバナなどの湿地林、マングローブ、海岸林など、狭い範囲で多様な植生環境が混在しています。また、複雑に入り組んだ河川や沢が豊かな水環境を作り出しています。このような水が豊かで多様な環境が混在しているところをイリオモテヤマネコは好みます。そこには、餌となる多様な生きものが豊富にいるからです。
ところで、西表島のような面積の狭い島に、イリオモテヤマネコのような肉食獣が住んでいるのは、世界的にみても稀なことです。ハンティングのスペシャリストであるネコの仲間は、一般に、もっと広い生息域を必要とするからです。その奇跡の秘密はどこにあるのでしょうか?