2011年08月21日 カテゴリー:島の生きものNEWS 8月の注目生きもの【ウミショウブ】 西表島ではウミショウブという植物が、夏の大潮に開花します。その名の通り、海の中に生えている植物で、大潮の時の大きな潮の満ち引きを利用して受粉を行うとても不思議な植物です。昼の干潮時、数mmの小さな雄花が雄株からたくさん出てきます。小さな雄花たちは水面に到着すると、花弁がくるっと反り返って水面に立ち、海面を漂います。そして潮が満ちてくると、雄花は雌花に吸い込まれるようにして中に入り、雌花は潮が満ちるのを利用して花弁を閉じます。干潮時、藻場のある砂浜の水面に白い粒々が浮いているのを見たら、それはウミショウブの雄花です。雄花が水面で反り返る様子や、潮が満ちて、雌花が閉じる様子をぜひ観察してみてください。先日観察に行ったら、アイゴの群れがウミショウブの葉の表面をつついて餌を食べていました。閉じた後の雌花の花弁は、潮が満ちてから短時間で小魚の餌となり、食べられて無くなってしまうそうです。ウミショウブは、小さな生きものたちに隠れ家と食べものを供給しているようです。ウミショウブの一斉開花は、大潮が4日間あるうちの連続した2日間に見られます。次の大潮は8月29日の新月前後です。先日の大潮よりも潮が引くのでたくさん見られるかもしれません。(浅利)