2011年07月24日 カテゴリー:島の生きものNEWS 7月注目生きもの【ウミガメ】 夏休みに突入しましたね。毎日暑いですが、晴れた青い空の下の青い海を見ると夏を実感します。そんな季節、西表島の砂浜ではこんな跡が見られます。ウミガメの足跡です。西表島とその周辺の島々には、アオウミガメ、アカウミガメ、タイマイの3種のウミガメが産卵に訪れます。産卵は夜行われるのですが、昼間に砂浜を歩いても、何の種類が産卵したのか知ることができます。 キャタピラの様なこの跡は、アオウミガメの足跡です。アオウミガメは、右と左の足を同時に動かすので、左右対称です。(ちなみに右側が海から浜へ上がっていく時の足跡、左側が浜から海へ帰っていく時の足跡です。)同じウミガメでも、右と左の足を交互に動かすアカウミガメの足跡はこうです。違いがわかりますか?自然の状態では、夜は浜が暗く、海の側は、陸に比べると明るいです。ウミガメの産卵と孵化が安全に行われるためには、この状態を守ることはとても大切です。 母ガメは、暗い所を目指して、産卵場所へ向かいます。夜に浜が明るいと、母ガメは、どこで卵を産んだらいいのかわからず混乱してしまいます。特に、浜から海へ向かってライトを照らすと、産卵しようと波打ち際まで来た母ガメが上陸できない要因となってしまいます。陸上に上がっている時の母ガメは、とても神経質で、人影などで不安を感じると、産卵せずに海へ戻ってしまいます。子ガメは、砂の中で生まれ、兄弟が一斉に地上へ進み、砂から出てきます。砂から出た子ガメたちは、明るい海へ向かう習性を持っています。もし、浜に明るいものがあったら、子ガメたちはそちらへ向かってしまい、海へたどりつけなくなってしまいます。砂から出て波打ち際へと向かう時間が長くなると、多くの天敵に狙われやすくなったり、途中で疲れて死んでしまったりします。そういうことで、産卵・孵化の時期は、夜の砂浜でライトを海に向けたり、たき火や花火などをして騒いだりしないようにすることが、光に敏感なウミガメの母子たちへの思いやりです。ウミガメ類は絶滅危惧種に指定されています。いつまでもウミガメがやってくる浜を守っていきたいですね。(浅利)