日記

令和7年度インターン 吉田さん

2025年12月、神戸大学国際人間科学部4年の吉田さんがインターンに来てくださいました。体力底なしの元気な学生さんでした!!

ご協力いただいた関係者のみなさん、大変ありがとうございました。

吉田さんより活動の報告とメッセージが届きましたのでご覧ください。

12月1日から5日まで、西表自然保護官事務所でのインターンシップに参加させていただいた吉田です。期間中に活動させていただいた内容を一部報告させていただきます。

12月1日

インターンシップ初日は、自然保護官の桑原さんと石原さんより国立公園管理や野生生物保護管理についてのレクチャーをしていただき、日本の国立公園の特性や環境行政の在り方、西表島での外来種管理や希少種の保護事業について学びました。

環境省のレンジャーというと、自然が相手の仕事という印象を持ちがちでしたが、国立公園の区域内には多様な地権者が存在するため、管理にあたっては、林野庁、都道府県、市町村、地域住民など様々な関係者との協働が不可欠であり、自然と同じくらい人も相手にする仕事だと感じました。人の暮らしと日本を代表する風景地が近接している地域で、持続可能な形で自然を保全することがレンジャーの使命の一つであり、自然の「保護」と「利用」の両方のバランスを取りながら国立公園を管理することの重要性を感じることが出来ました。

野生生物保護管理の業務では、希少種の交通事故対策についてのお話が特に印象に残りました。西表島では、イリオモテヤマネコをはじめとした希少種が交通事故に遭うリスクを減らすため、アンバーパスや片勾配側溝、立て看板の設置、道路脇の下草の除去作業など多くの対策が行われています。野生生物を「道路に出さない」ためのインフラ整備と「道路に出てきた野生生物を轢かない」ための啓発活動を軸とした取り組みは、多くの関係者の協力のもとで成り立っており、地域一丸となった野生生物保護の取り組みの重要性がとても良く分かりました。

また、午後には、「イリオモテヤマネコと希少動物たちを守ろう!絵画コンクール」の表彰式の補助もさせていただきました。このコンクールは、絵画を通して、イリオモテヤマネコをはじめとした西表島の希少な野生生物についての島民・観光客の保護意識を高め、西表島の野生生物保全を啓発することを一つの目的として開催されています。皆さんの応募作品はどれも力作ばかりで、絵画を通して自分たちが暮らしている地域の自然に目を向け、またその自然を保全していくためにはどうすればよいのかを考えるきっかけになっていることが見て取れました。絵を描く過程で、応募者は必然的に自然をよく観察することが求められ、また鑑賞者も、様々な視点で切り取られた自然を見ることで身近な西表島の自然に改めて目を向けることが出来るため、両者にとって西表島の自然を見つめ直すとても良い機会になっていることが分かりました。

12月2日

2日目は、クーラ川で利用者数の確認とパークボランティア活動実施のための下見、そしてイリオモテヤマネコのデータ整理を行いました。

クーラ川での利用者数の計測は、利用者数の動向を把握し、自然への影響があるかを検討するために行われています。登山道の利用を通じて西表島の豊かな自然を感じてもらうことは、西表島の自然を保護するためにも非常に重要ですが、利用者数やマナーによっては、その利用が西表島の自然に強く影響を与えてしまうこともあります。利用者数の計測と登山道の状況確認は、適切な自然の利用をするためにも重要な業務であると感じました。

また、パークボランティア活動の下見では、活動を行う場所までのアクセスや効果的な防除を行うための戦略などについて確認をしました。急勾配の場所も多く、パークボランティアや企業ボランティアの皆さんが安全に活動するための道のりを探し出すのは大変でしたが、無事にアクセルのしやすい道を見つけることが出来ました。西表島は山がちな場所が多くアクセスの難しい場所が多いため、今回の下見を通して、西表島における外来種防除の難しさを肌で感じることが出来ました。

下見の後は、事務所にて、イリオモテヤマネコのモニタリングデータの整理を行いました。旧式の自動撮影機で撮られたネガフィルムのデータは、時間とともに劣化をしてしまうため、それをデジタル化していきました。イリオモテヤマネコの生態を知るための貴重なデータを今後も長く使うための重要な作業に携わることができ、地道な作業ではありますが、とてもやりがいがありました。

12月3日

3日目は、西表島の登山道の一つである横断道の維持管理に同行しました。

横断道は、西表島の浦内~大富まで、まさに西表島を横断している登山道で、西表島の主要な登山道の一つです。整備は西表島のガイドの方などたくさんの人の協力によって成り立っており、活動では、利用者の安全を確保するために、伸びすぎて登山道を覆っている下草や倒木の除去などを行いました。登山道は険しい道も多く、維持管理を行いながら踏破するにはかなりの体力が求められますが、皆さん難なく作業をされており、活動を通して皆さんの西表島の自然への熱い思いがひしひしと伝わってきました。道中、登山道から観察できる植物や動物、川の源流についても教えていただき、私自身も、西表島の自然に対する知見を深めることができました。

12月4日

 4日目は、イリオモテヤマネコのモニタリングカメラの設置確認に同行し、その後西表野生生物保護センターにて、展示解説とレクチャーを受けました。

 現在、西表島にはイリオモテヤマネコをモニタリングするためのカメラが約30か所設置されているとのことですが、島全体をカバーできているわけではありません。そのため、今回は、今まで調べられていなかった、最近新たにできたモニタリング地点に同行しました。モニタリングは、イリオモテヤマネコの生態を知り、保全に生かすための基礎であり、非常に重要です。モニタリングできる範囲が広がったことが、イリオモテヤマネコについての知見を増やすための一助になることを願っています。

 西表野生生物保護センターでは、展示解説を通して展示に込められた思いや工夫、そしてレクチャーにより西表島の自然を守るための国立公園管理についてよりよく知ることが出来ました。2022年にリニューアルされた野生生物保護センターの展示は、壁一面を彩る絵画で自然を表現するだけにとどまらず、多くの工夫が凝らされており、来館者が展示を見て、聞いて、触って、嗅いで、多様な知覚を刺激しながら自然や野生生物について、学べるつくりとなっています。非常に充実した展示で来館者が能動的に体験して西表島の自然への理解を深めるための創意工夫が凝らされた素敵な展示となっているので、西表島を訪れた際には、ぜひ来館していただきたいです。

12月5日

5日目には、地元の大原小学校の4年生の皆さんの野生生物保護センターでのイリオモテヤマネコ学習の補助をさせていただきました。

学習会では、レクチャーのみならず、イリオモテヤマネコについて自分の手を動かしてより良く学んでもらうため、やまねこパトロール 髙山さんによるフン分析の時間もありました。皆さん苦戦しながらも、イリオモテヤマネコが普段どのようなものを食べているのか、手も頭もたくさん動かしながら考えてくれていました。また、写真やドライブシミュレーションなどの展示にも興味津々で、楽しみながら学習をしてもらえたのではないかと思います。これからも長くこの自然豊かな西表島に関わっていく皆さんにとって、この学習会が、身近にある自然の貴重さと素晴らしさを感じてもらう機会になっていればいいなと思います。

午後には、数日前に西表野生生物保護センターで保護されたイリオモテヤマネコの治療の見学をさせていただき、希少種保全の最前線を学ばせていただきました。治療は西表島の獣医や動物看護士の方の協力のもと行われており、改めて、西表島の自然の保全は、たくさんの方々の協力があってこそ成せることであるということを強く感じました。衛生面や治療方針など、細心の注意のもと治療が行われており、非常に貴重かつ重要な場面を見学させていただきました。

12月6日

この日は、パークボランティア活動に参加させていただきました。

県道脇に広く繁茂している外来種のキバナハスノハヒルガオの防除をパークボランティアや企業ボランティアの皆さん、やまねこパトロール、西表財団の皆さんたちとともに行いました。キバナハスノハヒルガオはツル性の植物のため、地面にも頭上にも繁茂していて大変でしたが、前回の下見の甲斐もあり、順調に防除を行うことが出来ました。今回の活動の効果が見られるのは数週間後ですが、今回の活動の成果が目に見える形で表れてくれることを願っています。

 外来種防除は体力も根気もいる作業ですが、パークボランティアを含めた西表石垣の方の自然保全への熱い思いによりこの作業が支えられていることが分かりました。

インターンを終えて

私は、今回のインターンシップで初めて西表島を訪れましたが、西表島では、環境省のみならず、地方自治体、企業、地元住民など、たくさんの方々が自然保全という目標のもと、協働されていて、島全体として、活動への意識が非常に高いことが印象的でした。現場に一番近い自然保護官事務所の自然保護官の業務は、行政的な手続きから、野生生物のモニタリング、地域住民とかかわるイベントなど、多岐にわたりますが、その地域の国立公園の特性や地域の実情に合わせて柔軟に業務を行うことが求められることが良く理解できました。自然の保護と利用のどちらに傾きすぎても自然を保全することは難しいため、難しいかじ取りが任されるのが環境省のレンジャーだと思います。今回のインターンを通して、その業務の一部を体験させていただき、国立公園の管理についての理解を深めることができたのは、これからの自分の進路を考える上でも非常に貴重な体験でした。

 短い間ではありましたが、西表自然保護官事務所の皆様をはじめ、西表島の皆様には大変お世話になりました。お忙しい中、インターンシップを受け入れていただき、本当にありがとうございました。インターンシップで学んだことをもとに、これからも精進致します。

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