トピックス

インターンシップpart3

 2020年10月19日から10月25日の5日間、当センターにて今年度三人目の実習生を受け入れました。

 実習を終えた岐阜大学の高崎さんから、メッセージが届きましたのでご紹介します。

岐阜大学 高崎さんより

2020年10月19日から10月25日の5日間、インターンシップをさせていただきました、岐阜大学3年の高崎です。インターンシップでの活動をご報告いたします。

【野生動植物の保全】

  • イリオモテヤマネコのモニタリング

西表野生生物保護センターではイリオモテヤマネコを個体識別し、モニタリングを行っています。今回はモニタリングに使うカメラの動作チェックを行いました。カメラの設置・回収は地元の住民の方に委託しているそうです。地域の人を巻き込んで継続的に保全活動を行うことで、地域での普及啓発にもつながっているのではないかと感じました。

  • パークボランティア活動ツルヒヨドリ駆除

 今回のインターンシップではパークボランティアの方々と外来植物のツルヒヨドリを手で抜いて駆除する作業を行いました。現在、外来植物の駆除は地元のパークボランティアの方々に支えられており、西表の自然を地域全体で守っていこうという地元の方々の思いを感じました。

 

  • 夜間パトロール

石垣島、西表島に生息するヤエヤママルバネクワガタは愛好家の間で高い人気があります。大量に採集されれば個体群に影響が出てしまうため、採集者が集まる夜間に大量採集や幼虫の餌となる朽ち木の採集を行わないよう注意喚起を行います。また、採集者の遭難対策も兼ねて入林届を提出するよう周知します。

 パトロール中には幸運にもイリオモテヤマネコの姿を目撃することができました。

  • 浦内川稲葉集落跡調査

 浦内川沿いには稲葉集落という50年前に廃村になった集落がありました。当時、稲葉集落では稲作が営まれていましたが、現在水田は放置され草原へと遷移しつつあります。以前の稲葉集落の水田は水を貯え、湿地としての役割を果たしており、水生生物をはじめ多くの生物の生息地となっていたようです。環境省では今後、放置された水田に手を加えることで、生物多様性を高めることができないか検討を行っているようです。今回のインターンシップでは、土地所有者で元村民の方の先導の下、プロジェクトを始動させるための調査に同行させていただきました。

【イリオモテヤマネコの交通事故対策】

  • 簡易柵の効果検証

試験的に設置している簡易柵の効果を確かめるため、事前に設置したカメラのデータを回収しました。今回の簡易柵は警戒心の薄い子猫の道路進入防止用でしたが、カメラに子猫は映っておらず、大人のイリオモテヤマネコがネットの内側に沿って歩いている様子を確認できました。簡易柵は、軽く設置・撤去がしやすい、価格が安いなどの利点があります。

交通事故対策を考えるうえで、設備の効果のみでなく維持管理のしやすさも追及していく必要がある事がわかりました。

  • アンダーパスの状態調査

アンダーパスをヤマネコが通れる状態になっているかチェックしました。アンダーパスは定期的に管理をしないと植物や堆積物で入り口がふさがれてしまいます。そのため、どのくらいの頻度で管理をすればよいのか調査し、アンダーパスを維持管理するための体制づくりを行っているそうです。

【観光管理】

  • 海域エリアワーキンググループの会議

 海域エリアを利用するツアー業者の代表者が集まり、海域利用ルールの制定に向けての会議を傍聴させていただきました。これまで、西表島では一部の自主ルールを除いて共通のルールを定めずにガイド業を行ってきたそうですが、近年、観光客やガイド業者の増加による自然環境への影響が懸念されることから、今後はルールを定めていく必要があります。今回の会議では、主にガイド1人当たりのゲストの上限人数、係留ブイの設置、ガイドの認定制度についての話し合いがありました。意見、立場の異なる立場の人の意見を調整し、共通のルールを作っていくことの難しさを感じました。

  • 古見岳歩道利用者カウンターのデータ回収

 古見岳歩道に設置してある利用者カウンターのデータを回収しました。利用者カウンターでは利用者数、利用時期・時間を記録することができます。また、歩道周辺では、利用による踏圧の影響で植生が自然状態と比較してどう変化しているか調査していました。このような日々のデータ収集によって観光利用による自然への負荷が目に見える形で示され、観光管理を行う上での根拠になっていることがわかりました。

 念願だったジャングルに入ることができ、亜熱帯の動植物に感動しました。

  • 西田川整備に向けての調査

 西表島の人気観光地であるピナイサーラの滝は夏場に人が集中し、オーバーユースが生じています。一方、ピナイサーラの滝に近い西田川では整備が進んでおらず、観光利用が少ない状態です。西田川の整備を進めれば、ピナイサーラの滝の観光客を分散させることができ、利用者の満足度低下や自然環境への影響を軽減できます。今回私は西田川の整備に向けた状況調査に同行させていただきました。カヌーや徒歩でツアー利用地を巡って、土地の所在や利用可能人数、利用方法、整備が必要な箇所等をチェックしました。

調査ではずっと入ってみたいと思っていたマングローブ林を歩くことができました。移動中はベテランガイドの方の解説を聞かせていただき、その知識量に驚きました。

【感想】

 私は将来、野生動物の保護管理に関わる仕事をしたいと考えています。そして、野生動物の保護管理において行政の役割・業務を知りたいと思い、今回インターンシップをさせていただきました。自然保護官の業務にはフィールドワークが多いのだと思っていましたが、それに加えて予想以上に意見を調整してまとめ、仕組みを作っていくという業務が多いことに驚きました。自然保護官は自然環境保全のために、大きな単位で物事を動かすことができる職業であることがわかりました。また、業務の中で住民、業者、県、町の方など、様々な立場の人と関わる機会があることがわかりました。私は野生動物に関わる企業、NPO法人、研究機関にも興味があったので、今回のインターンシップはそれらの事業所と環境省との関係性を知り、その職員の方々の業務を拝見できる良い機会になりました。今回の経験を踏まえて、今後自分がどのような方面から野生動物の保護管理に関わりたいのかを考え、そのために必要な知識・技術を身に着けていきたいです。

 西表野生生物保護センターの皆様、お忙しいところ、新型コロナウイルスの感染拡大が懸念される中で調整を重ね、インターンシップを受け入れてくださりありがとうございました。

 

岐阜大学3年 高崎

 当初は8月に実施の予定でしたが、コロナ禍で調整、見送りを繰り返しながら、ようやくの実施となりました。 

 期間中はとても前向きに取り組んでいる様子が伺え、私たちとしてもとてもやりがいを持って仕事に向かうことができました。今回の経験が高崎さんの今後に活かされれば、私たちも嬉しいです。

高崎さん、ありがとうございました。
また西表島でお待ちしております。