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放獣まで、あと一歩

みなさん こんにちは

 救護飼育中の仔猫たちですが、治療も終了し野生復帰に向けてのリハビリ期間に入りました。
保護してから1か月が経ち両個体とも痩せていた体にも肉がついてきてずっしりとしてきました。
         メス(左)保護時535g⇒1265g オス(右)保護時540g⇒1445g(6月17日時点)
 
 さて、イリオモテヤマネコは他地域のヤマネコ類と違い食性に偏りがありません。
狭い島で生き残るための知恵ともいうべきか両生爬虫類から魚類、鳥類、昆虫類、甲殻類などと様々なものを食べています(もちろん哺乳類も捕食します)。
 とりあえず偏食にならないようにと、この2頭が住んでいた場所に生息していて食べることのできる生き物を毎食用意して与えています。
 カエルはヌマガエル、カジカガエル、ヒメアマガエルなどを与えてみましたが保護前から食べたことがあったのかすぐに捕まえて食べました。
 トカゲはキノボリトカゲ、スベトカゲ、イシガキトカゲなどを与えました。キノボリトカゲは初めて見たのか捕らえようとしたときに唸り声をあげました。
 ヘビはサキシママダラを与えてみましたが、これも初だったようでヘビに威嚇され、ヤマネコのほうが後ずさりして逃げてしまいました。その後、何度かトライするもヘビが動くたびに及び腰になってしまい狩り失敗が続いています。
 昆虫はカマキリやツユムシの仲間は躊躇せずに食べましたが、バッタやコオロギはかみ殺すだけで食べませんでした。セミもツマグロゼミは食べてもクサゼミは食べませんでした。
 甲殻類は糞からよく見つかるテナガエビを用意しました。オスは尾の部分と前脚以外は食べたようでしたが、メスは水の中から引っ張り出して遊んだ後に放置して食べませんでした。
 
 

 水への抵抗もなくすために容器に水を張って中にオタマジャクシやカエルを数匹放してみました。メスは躊躇せずにそのままバシャっと水の中へ入りましたが、オスは足先が濡れるのを嫌って、前足をちょんと浸けてもすぐに出してプルプルっと水を払っていました。
 室内には木も組んで設置しています。台を取り付けたところお気に入りの場所になったのか、日中はご飯を置いても降りてこないことがあります。モニターで観察していたところ、オスは寝返りを打つときに滑り落ちそうになっていましたが、前足で踏ん張って元の位置へと戻っていました。メスは、ほぼ垂直になっている木をそのまま登れるので筋力もついてきたようです。

 今後の予定としては、準備の整った順番で山へ帰すことになり保護地点から少し山へ入った林内で放す予定です。
 放獣後、付近の道路や集落へ出没することもあるとは思いますが地域のヤマネコとして、みなさんで見守ってくださるとうれしいです。

(かんとう)

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