2010年07月15日
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- イリオモテヤマネコNEWS
またしても交通事故!
昨日のニュースでご覧になった方もいるかもしれません。
7月12日、22:38、イリオモテヤマネコがまた、交通事故で死んでしまいました。。。
事故が発生してすぐに、当事者の方が「ヤマネコ緊急ダイヤル(0980-85-5581)」に電話してくださいました。
残念ながら、まもなく死んでしまったのですが、当事者の方が事故の状況を詳しく話してくださいました。
ヤマネコの事故防止策を考えるのに、事故証言はきわめて重要です。
ヤマネコが倒れていたのは、事故が起こった車線の反対側でした。
今までの事故の多くは、事故後に通りかかった人が通報してくれたもので、私たちは事故現場の様子から事故の状況を推測するしかありませんでした。この事例から、必ずしもヤマネコが倒れていた車線側で事故が起こっているとは限らないことがわかるのです。
たったこれだけの情報でも、事故が起こった原因を考えるにはきわめて重要です。
事故は確かに悲しく残念な出来事ですが、ヤマネコのために、事故の通報をしてくれた方には感謝の気持ちです。
そして、この事故例は、車はさほどスピードを出していなかったにもかかわらず、走行車線側の道路脇の草むらからいきなりヤマネコが現れたため、ブレーキを踏んでも間に合わなかったとのことでした。
←事故現場の場所も、上原の街中からほんの少ししか離れていない、牧場が広がっているところです。
ヤマネコは本来、森に暮らし、森の中の湿地や沢を好んで利用するはずです。
どうしてこんな、開けて乾燥しているところに現れたのでしょうか?
どうして車が接近しているのに急に飛び出してきたのでしょうか?
事故の起こった場所(赤丸地点)の航空写真です。
事故が起こった場所は、ヤマネコが本来すんでいる森の大きなかたまりから、海岸に向けて小さな森が点々とつながっているところにあるのがわかりました。
事故で死んでしまったヤマネコは、まだ若いオスで、生涯のすみか(なわばり)を求めて放浪中の個体と考えられます。
放浪個体は、新天地を探すために、こうした「森の通路」を利用して移動していきます。
事故が起こった場所には、たまたまこうした「森の通路」があったのでした。
そして、放浪個体はその土地の事情をよく知りませんから、交通量の多い道路の危険性がよくわかっていなかったのかもしれません。
市街地が集中するこの地域は、私たちも交通事故が起こるとは思っていなかったところでした。
ヤマネコの生息地である森林に囲まれ、道路での目撃情報が多いようなところは、私たちも注意喚起をしてきましたが、この事例から、島内はどこでも油断ができないことを学ばされました。
もうこれ以上事故が起こらないように、私たちも対策に力を入れていきたいと思います。
この記事を読まれているみなさん、どうか島内は「よんな~(ゆっくり)運転」でお願いします。。m(_ _)m (岡村)