取り組み1:調査研究
効果的な保護対策を進めるためには、常にイリオモテヤマネコの生息状況を把握しておく必要があります。そのため、自動撮影モニタリング調査、目撃情報の収集などを行っています。また、大学などの調査研究と連携し、捕獲して臨床検査を行ったり、電波発信機による行動調査を行うこともあります。林野庁もヤマネコの巡視事業(痕跡調査など)を行っており、情報共有等連携を密にしています。
自動撮影調査
痕跡調査
目撃情報の収集
ヤマネコ観察会
取り組み2:生息地で共存を
イリオモテヤマネコの生息地は人間の生活域と隣接しており、ヤマネコの住める生態系と共存していくことが課題です。どうしたら共存できるのか、科学的に方法を探ると共に、野生生物や生態系への配慮をすすめていくことが重要となります。こうした取り組みを少しずつ広げていきたいと思っています。
取り組み3:交通事故対策
西表島では、イリオモテヤマネコをはじめとする野生生物の交通事故を無くすため、道路の下へ動物用のトンネル(アンダーパスやネコボックスと呼ばれています)が数多く設置されています。ヤマネコがよく路上に出てくる場所には、ゼブラゾーン(振音舗装)や道路標識も設置されています。道路際には幅広側溝・片勾配側溝など、小さな生きものたちが落ちてもはい上がれるような、そして道路上にはあがり難いような配慮などもなされています。こうした取り組みは、沖縄県、環境省の他に専門家などからなるエコロード検討会で検討されてきました(沖縄県エコロード事業)。
また、最新の目撃情報から要注意の場所へは、移動式看板などを設置しドライバーへ注意を促しています。
ゼブラゾーン
飛び出し注意標識
移動式注意看板
取り組み4:外来生物対策
◆イエネコ対策
これまでに西表島のノラネコはほとんど収容され、新しい飼い主(多くは島外)へ渡されました(現在も継続中)。また、獣医の先生たち(NPOどうぶつたちの病院沖縄、九獣連)協力のもとで、飼いネコの不妊化や適正飼養の指導が行われています。竹富町はイリオモテヤマネコの保護のために「ネコ飼養条例」を制定し、飼いネコの登録、ワクチン接種、持ち込み時の検疫などを義務付けています。
獣医師会による診療
ノネコ捕獲についての住民説明会(2004年頃)※2018年現在では島内にノネコは確認されていません。
◆オオヒキガエル対策
オオヒキガエルは強力な毒をもっているためヤマネコへの影響が心配されています。すでに繁殖している石垣島からの侵入を防ぐため、地元調査員が定期的な監視調査を実施しています。ほかにも、寄せられた目撃情報が、侵入したオオヒキガエル発見・捕獲につながっています。今のところオオヒキガエルは西表島には定着していません。
取り組み5:傷病ヤマネコの救護
ケガや衰弱などで救護されたイリオモテヤマネコを治療・リハビリし、野外へ帰す取り組みをしています。詳しくはこちらをご覧ください。
当センターでは、1996年8月から、交通事故で収容されたヤマネコを野外ケージで長期飼育していました。そのヤマネコの名前は「よん」。リハビリを目的としていたため公開はしていませんでしたが、館内のモニターでライブ映像を公開していました。
よんは2011年4月9日に死亡しましたが、センターでは、イリオモテヤマネコの生態やヤマネコを取り巻くさまざまな問題について紹介しているDVD「ぼくは、よん」を通してよんの姿を見ることができます。また、剥製となって、野外ではなかなか会うことのできないヤマネコの姿・形を私たちに教えてくれています。
取り組み6:広報など
月刊やいまへ「まーやのいきもの観察日記」を連載中
八重山のみなさんへ西表島の生きものについて知ってもらうために、平成29年より南山舎さんの月刊やいまへ「まーや」が島内で出会った生きものたちを紹介しています。興味のある方はお近くの書店等でお求めください。
広報たけとみちょうへの連載
竹富町のみなさんに最新のヤマネコ情報をお知らせするために、町広報誌へ平成18年12月号から平成28年まで「イリオモテヤマネコは今」を連載していました。竹富町のホームページ(下のリンク)から読むことができます。平成27年からは「西表の自然(野生センター便り)」とタイトルを変更しています。